ナマケモノときどきヤルキモノ

特に食欲に忠実です

カフェで女たちにささやかな喧嘩を売った話

突然だが、私は最近ロイヤルミルクティーにハマっている。

高校生までは「午後の紅茶ミルクティー」で満足していたが、そんな私を大きく変えたのはセブンイレブンの「ロイヤルミルクティー」との出会いだ。

これがまた美味い!んだ!

程よい甘さ、まろやかさ、でもスパイスがほんのり効いてて鼻を突き抜ける葉っぱの香りーーー

あれ以来、私はセブンイレブンロイヤルミルクティー以上の出会いを求めて様々なカフェを巡っている。

 

さて、ここまでが前置きである。

本題との関連性は一切ない。

そういうわけでカフェにいたのだ。

サンマルクなる、ベルセルクを彷彿させるネーミングのカフェだ。

(ベルセルクをご存知の方は一度お手合わせいただきたい(何を))

 

ドアの近くの席に腰をかけ、ロイヤルミルクティーをすすっていた。

すると、隣の6人組のガールズが自撮りを始めた。

席と席はそんなに離れておらず、高々と掲げられたiPhoneが私のテリトリーに不法侵入していた

 

フリル女「みんな写らないね、、、」

ワンレン女「わたし魚眼レンズもってる!」

ぱっつん女「まっじでー!魚眼!つかお!」

 

ワンレンは持ちにくそうなクラッチバッグからクリップ的な超挟めそうな器具のついた魚眼レンズを取り出した

女たちは嬉しそうに手を叩いた。ウホウホ。

そして、再び腕を掲げた。

私の読んでいる本にiPhoneの影が落とされる。

本を動かすが、iPhoneが負けじと追いかけてくる。

フリルが懸命に光を探してiPhoneを振っているのだ

 

フリル女「ここ暗いね、、、」

 

あぁ、おかげで字が読めないよ。

フーと息を吐き出す。ここでイラッとしたら負けだ。

あと数分我慢すれば終わるだろう。

 

ところが、そんな目論見は甘かった。

女たちは魚眼に向かってカワイイカワイイと賞賛の声を上げながらキメ顔を次々とキメている。

逃げても逃げてもiPhoneが追いかけてくる。

私のイライラはマックスである。

 

と、そこであひる口をかましていた女がわめきだした。

 

キャンキャン女「ねえわたしめっちゃ太ってみえるー!!!ヤダァ!」

フリル女「真ん中だもんねえ」

ワンレン女「大丈夫そんな太って見えない」

キャンキャン女「嘘だぁ!太ってる!場所変えてー!!!」

ばっつん女「やだよ!あたしが太ってみえるやん!」

 

視界がうるさくて仕方なかった。

いつもなら、ガン飛ばして席を移動していたであろう。

しかし、今日の私は一味違った

隣に座っていた女が突然立ち上がり、口角だけ上げて「撮りますか?」と声をかけられたらどうだろうか

もちろん人間なら断れないだろう。日本人ならなおさら。

しかもそのあと自撮りを始めたら

「アナタの撮る写真では満足できましぇーんアバババ」

というのと同じだからだ。

そう思い立ったら善は急げだ。

 

私「撮りますか?」

女たち「「「「えっ」」」」

 

どうする?どうする?と女たちが目配せをする。

 

ワンレン女「あ、、、じゃあ、、、」

 

動揺しつつも、ワンレンがiPhoneを渡してきた。

所詮女たちも日本人なのである。

さあ、みんな思いっきりキメ顔をかましてくれ!と言わんばかりにiPhoneを構えた。

 

ところが、女たちは先ほどまでのあひる口やらウインクやら舌出しやらが幻だったかのようにおとなしいピースでニコニコ微笑んだ。

 

私「あの、もっとキメてもいいんですよ」

「「「えっ」」」

私「えっ」

ワンレン女「イヤ大丈夫です」

私「そうですか」

 

パシャパシャ

申し訳程度におまけ、+1パシャ。

こんなもんか、とiPhoneを返す。

 

ワンレン女「ありがとうございます…」

「「「…ありがとうございます」」」

 

どうせ礼を言うなら起立して

アリガトーゴザイマシタァァァ!!!礼ッ!!!!!

とやってほしかったのだがささやかな喧嘩を売った身として贅沢は言えまい。

 

私は口角だけを上げたまま会釈を交わし、読書に意識を戻した。

ーーーはよ去れ。

そう女たちに念力を送りながら。

すると、それが効いたのか女たちはすぐに席を立って出て行ってしまった

どうせ光を求め、手を掲げに行ったのだろう

その女たちの行方は誰も知らないーーー

 

 

 

 

ちなみにサンマルクロイヤルミルクティーはハズレであった。