ナマケモノときどきヤルキモノ

特に食欲に忠実です

満員電車

 

ーー私はたった今、生まれて初めて地球から離れた。


厳密に言えば、

ブランコで空を目指したこともあったがーー

 

 

 

「地球から5センチ浮遊中の大学生(20歳)と中継がつながりました。どうぞ。」

 

「はい、えー、聞こえますか。アーアー、マイクテストマイクテスト」

 

「早速、なぜそのようなことに至ったのか、説明いただけますか?」

 

「はい。地面が傾いたんですね」

 

「地面が?」

 

「はい」

 

地震ではないんですよね?」

 

「いいえ」

 

「そうですか、続けてください。」

 

「一枚の鋼鉄の端っこを未確認生命体が押し上げた感じで」

 

「それで傾いたと」

 

「もしかしたら釣り上げたのかも」

 

「どっちでもいいですね」

 

「地面が傾いた!って思ったら突然息苦しくなったんです」

 

「なぜ?」

 

ボブサップの二の腕に囲まれたんですよ」

 

ボブサップ

 

「ていうかボブサップがたくさんいました」

 

「不可解ですね。」

 

「地面の傾きを利用してタックルをしてきたんですよ、ボブサップが」

 

「倒(地)法ですね、なんて」

 

「後ろにもボブサップがいたので 背水のボブサップ でしたね」

 

「背水のボブサップ

 

「それで、声にならないうめき声をあげたんですよ」

 

「ええ」

 

ボブサップさっさとどけよって思ったんですけど、ボブサップにもボブサップがタックルしてたんですよ」

 

「つまりあなたはボブサップに阻まれボブサップにタックルされボブサップボブサップにタックルされたんですね」

 

「そうなんです」

 

「それで、ボブサップがどう5センチ浮遊につながるのでしょうか」

 

「ボブサッズはタックルしてたので中腰だったんですよ」

 

「複数形はボブサッズなんですね」

 

「それで、地面がガタンって戻ったんですよ」

 

「ええ」

 

「そしたらボブサッズは姿勢を直しますよね」

 

「ええ」

 

「私に四面楚タックル中のボブサッズが同時に上方向に動いたらどうなりますか」

 

「あ、押し上げられますね」

 

「そうなんです」

 

「ボブサッズに上向きに押し上げられて5センチ浮いたんですね」

 

「上向きって、ムキとかけてますよね面白いです」

 

「かけてません

ーー中継は以上です。ありがとうございました。」

 

「ありがとうございました。」